発行日 2001年12月1日
Published Date 2001/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2002175042
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12歳男児.頻回の嘔吐と体重減少を主訴に近医を受診し,上部消化管造影にて十二指腸の強度狭窄を認めた.内視鏡所見では十二指腸球部,食道と胃の粘膜には異常なく,十二指腸下行脚に強い狭窄を認め,狭窄周辺に糜爛が認められた.飲水後の腹部造影CTで十二指腸下行脚に狭窄を認めたが,周囲に腫瘍は認めず,膵頭部にも腫瘤や嚢胞性病変は認めなかった.MRCP所見では胆管壁に不整はなく,狭窄や拡張も認めず,総胆管内に結石や腫瘤も認めなられなかった.十二指腸の潰瘍か憩室炎による狭窄の術前診断にて,小切開による開腹術を施行した結果,十二指腸下行脚右壁に大網の癒着を認め,これを剥離し十二指腸の授動を行うと下行脚右側壁に5mm大の潰瘍瘢痕様の部分を認め同部に大網が癒着していた.胃空腸吻合術の施行で第34病日に軽快退院となった.小児でも頻回の嘔吐が認められた場合は,消化管の器質的病変を疑うべきと考えられた
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