発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017398773
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64歳女性。前縦隔異常影を主訴とした。X線で前縦隔に造影効果のある大小の結節状陰影を認め、PET-CTで腫瘍に一致してSUV max4.2~4.4の集積を認めた。多発胸腺腫を疑い、手術を行った。胸腺組織内に多発する大小の腫瘍を認め、拡大胸腺胸腺腫瘍摘出術を施行した。病理検査で胚中心を形成するリンパ濾胞外側にリンパ腫細胞の浸潤を認めた。CD79αの免疫染色では胚中心のマントル層が陽性に染色されたが、この外側の辺縁層にリンパ腫瘍細胞の不規則な陽性部位を認めた。この細胞はCD20も陽性で、Ki-67の陽性率は20%以下であった。上皮マーカーのAE1/AE3染色では、胸腺内上皮細胞のネットワークが腫瘍細胞によって破壊され、まばらになり、リンパ上皮病変の所見を呈していた。以上より、MALTリンパ腫と診断した。術後4年の現在、無再発生存中である。
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