発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017398767
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62歳女性。胸部の拍動性膨隆を主訴とした。前医でStanford A型急性大動脈解離に対し上行大動脈人工血管置換術を施行したが、人工血管感染と縦隔炎を併発した。洗浄とデブリドマンを繰り返したが、感染を制御できず、2ヵ月後に上行大動脈ホモグラフト置換術、大網縦隔充填術を施行(胸骨は離開させたまま皮膚移植)し、感染を制御した。ホモグラフト置換術から約10年後、急速に拡大する胸部の拍動性膨隆が出現した。3D-CTで上行大動脈に突出した22×15×21mm大の嚢状瘤を認めた。上行大動脈ホモグラフト置換術後の嚢状瘤と診断し、手術を行った。動脈瘤は多房性嚢状瘤で、術中エコーで大動脈弁閉鎖不全症を認めた。上行および大動脈基部置換術(Bentall手術)と、左冠状動脈の再建を人工血管をinterpose(Piehler法)して行った。病理診断は真性瘤であった。術後19日に軽快退院となり、術後7年の現在まで再発を認めていない。
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