発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017398761
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86歳男性。呼吸苦を主訴とした。60歳代に右自然気胸で手術を受けていた。CTで両肺にびまん性に線維化を認め、右中葉に2cmの腫瘍を認めた。胸膜の癒着の有無は判別できなかった。超音波断層画像検査で腋窩切開による皮膚切開の瘢痕周囲ではsliding lung signは認められず、臓側胸膜と壁側胸膜との癒着が強固と判定した。但し、第7肋間より尾側ではsliding lung signは良好に観察され、癒着がないか軽度であると判定した。Sliding lung signを認めない部位をマッピングし、癒着のある部位を予測した。胸腔鏡でマッピングした部位に一致して胸膜の癒着を認めた。胸腔鏡下で癒着部位を避けてその他のポートを挿入し、中葉の癒着剥離を行った。右中葉を部分切除し、術中迅速病理診断で肺腺癌の診断が得られたため、右中葉切除術を行った。術後の病理診断は腺癌で、病期はpT2aN0M0、病理病期IB期であった。術後4週に軽快退院となった。
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