発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017078310
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77歳男性。紅皮症の診断で皮膚科にてステロイドの内服加療が行われていた。今回、浸潤局面が著明となり、皮膚生検で菌状息肉症(病期III度)と診断され、紅皮症は菌状息肉症の皮膚病変であったと確定診断された。治療は紫外線照射とステロイド外用に変更したが、皮膚病変の改善を認めず、全身精査を行ったところ、PET/CT検査にて左肺上葉の1cmの結節部に異常集積を認め、原発性肺癌が疑われた。心臓血管外科へ紹介後、胸部CTでは左肺上葉末梢側に胸膜陥入像を伴う長径1cmの結節影を認め、PETでは左肺上葉の結節影に一致し、FDGの異常集積を認めた。画像上、原発性肺癌と考えられたが、菌状息肉症治療中で、末梢小型病変であることから縮小手術の方針で手術が行われた。術中所見では腫瘍は左肺上葉胸膜直下に存在していたが、術中洗浄胸水細胞診では悪性細胞を認めず、予定通り楔状切除により腫瘍を切除した。その結果、病理所見では腫瘍は最大径15mm大の腺癌であり、原発性肺癌であった。術後は経過良好で、合併症もなく患者は退院となった。尚、菌状息肉症に対する術前4ヵ月の治療では改善が認められなかった皮疹は術後1ヵ月には消退し、術後20ヵ月経過現在、紫外線治療のみで皮疹の再燃は認められていない。
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