発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017304628
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75歳女。大動脈弁狭窄症(AS)の診断後、労作性の全身冷汗と失神をきたすようになり紹介受診した。胸部CTにおいて大動脈弁の石灰化と左室流出路狭窄を合併した左室肥大像を認め、心エコーでは重度のASを認めた。冬季に増悪する下腿局所のうっ滞性皮膚炎の既往があり、パネル赤血球を用いた凝集反応検査において22℃の生理食塩液法で赤血球の凝集反応が観察され、4℃の生理食塩液法では強陽性の凝集反応を示した。臍帯赤血球との反応では弱陽性赤血球凝集を示し、寒冷凝集素症を合併したASの診断で大動脈弁置換術を施行した。周術期の赤血球凝集反応を予防するため、麻酔中の注射薬や血液製剤はホットラインを介して投与する、体外循環回路の充填液は送血直前まで36℃に加温する、心筋保護液は加温血液心筋保護液を使用するなどの対策を講じ、直腸温を36℃以上に維持した。術後脳梗塞や血栓塞栓症などの合併症は認めず、16日目に独歩退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2017