発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011338809
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手術適応境界域の重度呼吸機能障害を呈した大動脈弁狭窄症患者2症例(全例女性、症例1:71歳、症例2:69歳)に対する術前呼吸リハビリテーション(リハ)について検討した。症例1では術前ADLは比較的保たれていたが、息切れやそれに伴う運動耐容能低下がリハ上の問題点とされた。そこで、自転車エルゴメータや抵抗運動などの運動療法を中心としたプログラムを実施した。一方、症例2では身の回りの軽労働で息切れが出現することが問題点であり、呼吸運動や自動運動、ストレッチングなどのコンディショニングや体位の変換、短距離の階段歩行などのADLトレーニングを中心にプログラムが行われた。その結果、両症例とも運動耐容能の向上が示唆され、特に症例2では6分間歩行距離がリハ前後で136mから318mに著明に改善、自覚症状なく短距離階段歩行が可能となった。また、いずれの症例とも運動耐容能、ADL、自覚症状および呼吸機能パラメータの改善がみられ、症例1では大動脈弁置換術+冠動脈バイパス術を、症例で2は大動脈弁置換術が施行された。その結果、術後の入院期間は症例1は31日間、症例2は22日間で、いずれも呼吸器合併症など有害事象は認められなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011