発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017264352
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症例は86歳男性で、伐採した際に木が左前胸部に当たり、胸痛と呼吸困難を主訴に受診し、左肋骨骨折、血気胸の診断で入院した。胸部CTでは、左気胸と左胸水を認めた。左外傷性血気胸の診断で胸腔ドレナージを施行し、7日目に退院した。しかし、10日目に呼吸苦を訴え、再入院した。胸部CTでは、胸水と肺水腫を認め、心不全を疑った。心エコーでは、カラードプラで心室中隔筋性部に左室から右室への短絡血流を確認した。外傷性単独心室中隔穿孔(VSP)による心不全と診断し、大動脈内バルーンパンピング補助下に手術を施行した。中等度低体温人工心肺下に左室自由壁を切開すると、心室中隔筋性部(心尖部付近)の肉柱間隙から右室へ血液の交通を認めたため、同部を穿孔部と判断し、パッチ閉鎖を行った。術後経過は良好で、心エコー検査上遺残短絡もなく、術後16日目に軽快退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2017