臨床経験
高齢女性に発生した進行性縦隔悪性胚細胞腫瘍
鈴木 寛利
1
,
荒木 修
,
箕輪 宗生
,
松浦 圭文
,
松村 輔二
1東北大学加齢医学研究所 呼吸器外科学分野
キーワード:
Carboplatin
,
Cisplatin
,
Etoposide
,
胸部X線診断
,
胸部外科
,
腫瘍多剤併用療法
,
縦隔腫瘍
,
胚細胞腫
,
放射線化学療法
,
胸部CT
Keyword:
Antineoplastic Combined Chemotherapy Protocols
,
Cisplatin
,
Etoposide
,
Mediastinal Neoplasms
,
Radiography, Thoracic
,
Carboplatin
,
Germinoma
,
Thoracic Surgical Procedures
,
Chemoradiotherapy
pp.430-433
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017264349
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症例は69歳女性で、3年前に石灰化を有する前縦隔腫瘍を指摘され、経過観察していた。胸痛を自覚し、縦隔腫瘍の増大と肺転移を指摘された。急速な原発腫瘍増大、肺転移、胸水貯留に伴い呼吸状態の悪化が進行し、腫瘍の針生検を施行した。HE染色の病理組織像では出血、壊死を伴って異型細胞の充実性増殖を認めた。上皮性の結合を示したが、角化傾向や腺管構造の存在は不明瞭で低分化癌が考えられた。緊急的に放射線照射を施行した。組織像で異型細胞を認め、免疫組織染色でHCG陽性細胞を認め、縦隔悪性非セミノーマ胚細胞腫瘍と診断した。プラチナ製剤とエトポシド(VP-16)による化学療法を施行した。左肺転移は消失しPRとなった。2年経過後、腫瘍の再評価を行い、PETにて前縦隔腫瘍に集積が残存していた。腫瘍を含めて胸腺を摘出した。腫瘍と左肺との癒着が高度であったため左肺上葉の一部を合併切除した。同時に右肺下葉の転移巣2ヶ所も切除した。術後5年経過し、無再発で生存中である。
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