臨床経験
誤嚥後1年が経過した気管支内異物の外科的摘出
湯木 毅
1
,
阪本 俊彦
1神戸赤十字病院 呼吸器外科
キーワード:
異物
,
開胸術
,
気管支鏡法
,
気管支疾患
,
胸部X線診断
,
気道内誤嚥
,
胸部CT
Keyword:
Bronchial Diseases
,
Bronchoscopy
,
Foreign Bodies
,
Radiography, Thoracic
,
Thoracotomy
,
Respiratory Aspiration
pp.768-771
発行日 2015年8月1日
Published Date 2015/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015395173
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77歳男。約1年前に大工仕事中に金属製の絶縁ステープルを咥えていた際、突然むせたことがあった。今回、前医で胸部異常陰影を指摘され紹介となった。X線で右肺門部に金属異物を認め、CTではステープルの脚部が気管支膜様部に刺入していた。気管支鏡検査では下幹入口部に絶縁ステープルの脚と思われる突起物を認め、その周囲には肉芽組織が著明に増生し、末梢側の下葉気管支をpin hole状に閉塞していた。同部の肉芽形成のため、ステープルの可動性は全くなく、かつ視野が不良であることから、気管支鏡下での摘出は困難と判断して開胸手術を施行した。肉芽組織は線維化をきたしておらず、吸引器を用いて容易に除去可能で、肺切除等を行うことなく膜様部に刺入したステープルを鉗子で摘出した。ステープルは大きさ17×12mm、コの字型の金属製であり、ビニールによる絶縁部以外は黒錆化していた。術後2日に胸腔ドレーンを抜去し、術後10日に軽快退院した。
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