発行日 2017年4月1日
Published Date 2017/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017233272
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症例は40歳代男性で、6歳時よりDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)に入院し、7歳時より気管切開、持続陽圧換気管理中であった。喀痰吸引時に血性痰を認め、止血薬の吸入で軽快したが、画像上、無気肺を認めた。全身筋萎縮、拘縮、変形が著明で寝たきりの状態で、言語は不明瞭で意思伝達は不可能であった。胸部CT所見では、強い側彎と胸郭変形、椎体による右主気管支の圧排を認め、右中下葉は無気肺となっていた。気管支鏡所見では、右主気管支や上葉枝分岐部、中間気管支幹に外圧性の狭窄を認めた。DMDに起因する側彎症と胸郭変形が椎体による気管支の壁外性圧迫を招き、閉塞・狭窄した気管支の粘膜同士の擦過により気道出血をきたしたものと判断した。気管支鏡検査の時点で止血が得られ、手術となると右肺全摘を要する可能性があり呼吸機能の観点からも非常にハイリスクであることから、経過観察の方針とした。
©Nankodo Co., Ltd., 2017