発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017135907
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58歳男。検診で胸部異常陰影を指摘された。小細胞肺癌の疑いで紹介受診し、胸部CTにて左肺上葉舌区末梢側に境界明瞭で辺縁整の腫瘤影(長径3cm)を認めた。PET所見ではCT上の腫瘤影に一致してFDGの異常集積を認めたが、他臓器に異常集積はみられず、限局型小細胞肺癌として矛盾はないと考えられ、左肺上葉切除と2群リンパ節までの郭清を行った。摘出標本の病理組織学的検査、免疫組織化学的検査の結果は悪性紡錘形腫瘍で、滑膜肉腫が疑われたため、SYT二色分離プローブを用いたfluorescence in situ hybridization法を行った結果、腫瘍細胞にSYT遺伝子の解離シグナルを認め、滑膜肉腫(単相線維型)と診断した。本例は滑膜肉腫の既往がなく、術前の全身検索で他臓器に病変を認めなかったため肺原発滑膜肉腫と最終診断した。術後12ヵ月現在、無再発生存中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2017