発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010265962
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
39歳男性。患者は左胸痛を主訴に他院の胸部CTにて左胸水と舌区の腫瘤を指摘され、精査加療目的で著者らの施設へ紹介となった。入院時、腫瘍マーカーはSCCが異常高値を示し、胸部X線では左中肺野に最大径10cmの腫瘤陰影が認められた。また、胸部CTでは左肺舌区から下葉に径9×6×10cmの内部不均一な腫瘤がみられ、上下葉分岐部まで及んでいた。以上より、本症例は左肺悪性腫瘍が強く疑われ、左肺全摘術を施行したところ、病理組織学的に腫瘍細胞は短紡錘形~小円形の細胞からなり、パラフィン切片組織を用いたRT-PCRで染色体転座によるSYT-SSX2融合遺伝子が証明、肺原発の低分化型滑膜肉腫と診断された。一方、SCCは術後正常化し、今後は補助療法を含めた経過観察が予定されている。
©Nankodo Co., Ltd., 2010