発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016402995
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67歳男性。糖尿病の加療中で、今回、腹痛を主訴に受診、急性膵炎の診断で入院となった。経胃膵嚢胞ドレナージなどが施行され、自宅退院となったものの、退院1ヵ月後の全身CTで右房内に腫瘤を認め、循環器内科へ受診となった。心エコーでは右房内に高度石灰化を伴う可動性のない腫瘤があり、また腫瘤は右房前面と下大静脈(IVC)近傍に付着し、その間を固定された橋のように存在していた。胸部CTでは右房内に石灰化を伴う内部不均一な腫瘤が確認され、MRIでは右房内に腫瘤が存在し、右房前壁からIVCの近傍に固定されていた。更に冠状動脈造影では左前下行枝(LAD)に99%の狭窄が認められた。以上から、LADへのバイパス術と右房内の腫瘤摘出術を施行したところ、摘出された腫瘤は長さ9.5cm、表面平滑で中心に管腔部分がみられ、静脈内留置カテーテルを核として形成された血栓と考えられた。病理所見では腫瘤内部は新鮮な血栓で、その周囲は器質化し、心筋と接する部分に高度の慢性炎症細胞浸潤と異物型巨細胞、類上皮細胞の柵状配列がみられた。集中治療室入室4時間後に人工呼吸器から離脱し、翌日には一般病棟に転棟、血糖の調整に難渋したが、術後22日目に自宅退院となった。
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