発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016402993
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
77歳男性。既往として早期胃癌に対し内視鏡的切除術、下肢閉塞性動脈硬化症に対し3回の血管内治療が施行されていた。今回、近医のCT上で胸部下行大動脈遠位部の瘤状変化を指摘された。入院時、CT所見では胸部下行大動脈遠位部(横隔膜直上、Th11レベル)に嚢状瘤(最大短径53mm)を認め、石灰化が血管内腔に偏位し、血栓に突出する潰瘍性突出像が散在していた。また、瘤内血栓あるいは血管周囲軟部組織の変化の低吸収域がみられ、ここ数ヵ月での急激な瘤化であった。一方、腎動脈下腹部動脈瘤は鉛管状の石灰化を認め、右総腸骨動脈(CIA)のステント内腔は5.3mm、左外腸骨動脈(EIA)は4.3mmで、左EIAは全長にわたり石灰化が著明でほぼ鉛管状であった。治療として、まず脊髄虚血予防に脊髄ドレナージを施行し、全身麻酔下に腹部正中切開後、左腹膜アプローチで手術を開始した。左EIAは全長に全周性石灰化を認め、左CIAは長さが短く、いずれも遮断が不可能であった。そこで、左IIAを遮断して、8mm Zelweave人工血管を端側吻合し、アクセスルートとして透視下に22Fr DrySealシースを挿入し、30mm径、169mm長のVALIANTを留置した。その結果、術後は経過良好で患者は8日目に独歩退院となった。尚、術後1年時の瘤径は37mmと著明に縮小していた。
©Nankodo Co., Ltd., 2016