胸部大動脈に対するステントグラフト治療up-to-date
胸部大動脈瘤再手術に対するtotal debranching胸部ステントグラフト内挿術の有効性
植野 恭平
1
,
菅野 恵
,
緑川 博文
,
砂田 将俊
,
高野 隆志
,
滝浪 学
,
影山 理恵
1総合南東北病院 心臓血管外科
キーワード:
再手術
,
術後合併症
,
大動脈瘤-胸部
,
治療成績
,
大動脈置換術
,
ステントグラフト内挿術
,
胸部CT
Keyword:
Postoperative Complications
,
Reoperation
,
Treatment Outcome
,
Aortic Aneurysm, Thoracic
pp.268-274
発行日 2017年4月1日
Published Date 2017/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017233268
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zone 0領域の弓部大動脈瘤に対して人工心肺(CPB)を使用して頸部分枝を全て再建するtotal debranchingステントグラフト内挿術(td TEVAR)を施行し、再手術を行った5例(男性4名、女性1名、57~74歳)を対象とした。危険因子として脳神経疾患1例、虚血性心疾患1例、慢性閉塞性肺疾患1例、腎機能障害2例、悪性腫瘍1例を認め、瘤病因は全例動脈硬化性であった。再手術の理由は、上行大動脈置換術後の弓部大動脈の拡大4例、zone 2 TEVAR後中枢landingからの限局性の解離1例であった。手術は全て待機手術で、大動脈弁置換術(AVR)を1例、左鎖骨下動脈のコイル塞栓術を1例に追加した。初期成績では、術後63日目に肺炎による敗血症で1例が死亡し、軽度不全麻痺を1例に認めた。1例に腋窩動脈人工血管吻合部狭窄による左上肢の血流障害を認め、腋窩-上腕動脈バイパス術を追加した。生存例における平均37ヵ月の経過観察の中期・遠隔期成績は、肺炎による敗血症、手術に関連しない脳梗塞でそれぞれ1例死亡した。
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