発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014367323
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
68歳男。発熱、心窩部不快感を主訴とした。入院時検査でWBC・CRPが高値を示し、CTで胸部下行大動脈に34×41mm大の不整形の嚢状大動脈瘤を認めた。感染瘤や炎症性瘤の可能性を考えmeropenem hydrateの投与を開始したが、入院3日目のCTで潰瘍様突出像、瘤径の拡大傾向を認めた。解熱、炎症所見の改善傾向を認めていたため抗生物質を倍増して継続投与し、CT所見の変化もなく感染コントロールは良好と判断して待機的に胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)を予定した。以上、急激な形態変化の一方で大動脈分岐の狭窄病変がないこと、抗生物質が奏効している等の経過を考慮して、感染性大動脈瘤と診断した。TEVARによる脊髄虚血のリスクは高くないと判断して脊髄ドレナージ等の前処置は行わず、ステントグラフトの中央部に瘤が位置するように留置し、確認造影でエンドリークは認めず、術後対麻痺も認めなかった。術後19日に軽快退院し、その後も抗生物質の内服を1ヵ月間継続し、術後3ヵ月のCTで感染所見は認めず、残存腫瘤も縮小していた。
©Nankodo Co., Ltd., 2014