発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012175464
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77歳男。肺炎で入院した際に右肺下葉の結節影を指摘された。CTで右S9に径15mm大のスピクラを伴う結節影と肺門リンパ節腫脹を認め、肺癌と判断して右肺中下葉切除およびリンパ節郭清を行った。病理所見は扁平上皮癌、pT1aN1M0、病理病期IIA期であった。術直後より胸水排液量が目立ち、食事開始で白濁し術後乳び胸と診断された。中鎖脂肪酸食に引き続き完全静脈栄養としたが、胸部X線で右肺野の透過性が低下し、1日量2000ml前後の乳び胸水排液が続いた。胸管結紮術について検討したが既往症を考慮し、術後7日目よりoctreotide acetate投与(100μg×3回皮下注/日)を開始した。投与開始日より胸水排液量は減少し始め、3日目500ml/日、9日目250ml/日となり、投与中止とした。食事を再開しても胸水排液量が増えないことを確認した後、胸腔ドレーンの抜去を行った。その後、一時的に右肺野の透過性低下を認めたが、徐々に改善して対側と同等まで回復した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012