発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009298959
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37歳女。発熱を主訴とした。聴診で心尖部に最強点を有するLevine分類III/IV度の収縮期雑音を聴取し、血液培養検査ではStreptococcus milleri groupが検出された。X線では心拡大を認め、心エコーでは左房内に76×47mmの腫瘤を認めた。腫瘤は心房中隔に付着しており、茎はなかった。また、僧帽弁にIII度の逆流を認めた。僧帽弁逆流を伴う左房粘膜腫と診断し、腫瘤摘出術を施行した。摘出した腫瘤は弾性硬で石灰化を伴っており、滑面は暗赤色と灰白色の部分を認めた。病理組織所見は粘膜腫の部分は異型に乏しく、分裂像もみられなかった。一部に紡錘形細胞が密度を増して増殖しており、中に小さな好酸性の骨基質を形成し、未熟な線維骨を形成していた。一方、骨化した部位に巨核球、未熟な顆粒球系細胞、赤芽球島がみられ、骨髄が形成されていた。以上より、骨形成を伴う粘膜腫と診断した。術後は感染所見なく経過し、血液培養検査は陰性となり、術後26日に軽快退院となった。術後3年の現在、無再発で生存中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2009