発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016030712
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71歳女。胸部絞扼感を主訴とした。X線で心拡大、心エコーで左房内に収縮に伴い左室、左房を往復する69×45mm大の巨大な腫瘤を認めた。心電図で洞調律、心拍数44回/分、II、III、aVFでST上昇、I、aVL、V5、V6でST低下を認め、急性心筋梗塞と診断し、冠状動脈造影を行ったところ、右冠状動脈seg.4房室結節動脈が血栓で閉塞していた。血栓吸引を行い再開通したが、心臓腫瘤に対する手術が急務と判断し緊急手術を行った。開胸下に腫瘍を切除し、心房中隔に大きな欠損を生じたためテフロンパッチで閉鎖した。また、三尖弁の水試験で弁輪が拡大し逆流を認めたため、三尖弁輪縫縮術を行い、右房を閉鎖した。摘出標本は通常の粘液腫にみられる暗赤色、ゼラチン状の腫瘍の先端に鶏冠状、白色の器質化した血栓が付着した腫瘍で、病理所見より高齢者Epstein-Barrウイルス陽性びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫であった。術後化学療法としてrituximab併用THP-COP(pirarubicin、cyclophosphamide hydrate、vincristine sulfate、prednisolone)を6サイクル施行し、以後18ヵ月間、再燃なく経過している。
©Nankodo Co., Ltd., 2015