発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015122727
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
63歳女性。6年前にIgM型の多発性骨髄腫(MM)と診断、前医で放射線および化学療法が行われていたが、今回、定期検査で右眼窩に再発が認められた。全身精査にて左房内腫瘍を指摘され、化学療法前に心臓治療が必要と判断、手術目的で著者らの施設へ紹介となった。所見では頭部MRIで右前頭部から右眼窩に浸潤するMMの再発がみられ、心エコーでは左房内に可動性のある有茎性腫瘍が認められたが、心機能は正常で心拡大は認めなかった。手術は人工心肺確立後、心停止を得て右側左房切開した。すると左房内には樹枝状の突起を有した有茎性腫瘍が認められ、この心房中隔に認めた茎を心内膜とともに切除し、欠損した心内膜は直接縫合閉鎖した。その結果、病理所見は心臓粘液腫で悪性所見はなかった。術後は6時間で抜管となり、2日目にドレーンを抜去、γグロブリン製剤(1g/日)+cefazolin(3g/日)を3日間投与することで、感染や出血性合併症はなく順調に経過して、10日目に前医へ転院となった。目下、術後14ヵ月経過で外来通院中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2014