発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010082298
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症例は64歳男性で、労作時息切れ・動悸を主訴に近医を受診、心エコーにて大動脈弁の疣贅付着と重度大動脈弁閉鎖不全症を指摘され、感染性心内膜炎(IE)疑いにて精査加療目的で入院となった。本症例は事前の抗菌薬投与歴はなく、血液培養陰性のIEの起因菌として血清抗体価測定(海外発注)によりB.quintanaに対する抗体価が強陽性と判明、GMに続きCTRX、DOXYを投与したが微熱と炎症所見の改善、疣腫退縮もみられなかった。第40病日に大動脈弁置換術を施行、摘出大動脈弁の病理組織学的所見から疣贅は石灰化を伴うフィブリン塊・線維芽細胞や細血管増生に加え好中球や組織球など非特異的細胞浸潤がみられ、Wegener肉腫を示唆する所見は認めなかった。術後経過は良好で6週間のCTRX静注・DOXY内服後に退院となった。本症例は最終的にB.quintanaによる亜急性心内膜炎と診断されたが、血液培養陰性に加え血管炎症状を随伴し抗核抗体・C-ANCA陽性を呈したため、ANCA関連血管炎との鑑別が問題な症例であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010