発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2016107860
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70歳女。幼少時に心室中隔欠損症(VSD)と診断されていた。今回、左上肢の動かしにくさを主訴に近医受診し、頭部CTで右前頭側頭葉に低吸収域を認められ、脳梗塞の診断で当院に紹介された。38℃台の発熱を認め、血液検査で炎症反応を認めた。胸部CTで敗血症性肺塞栓症を疑わせる多発性結節影を認めたため血液培養を行ったところ、Streptococcus parasanguinisが検出された。経胸壁心エコーで大動脈弁右冠尖上に10mm大と6mm大の付着部を認め、感染性心内膜炎と診断した。抗菌薬治療を5週間行い、感染の鎮静化に伴い脳梗塞の症状も改善した。本例は、偶発的に生じた大動脈弁の疣贅が脳梗塞を引き起こしたと同時に、先天的に有していたVSDを介して肺塞栓症を引き起こしたものと考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2016