発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008116823
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20歳女。患者は胸痛および呼吸困難を主訴とした。血液検査では腫瘍マーカーCA125の高値が認められ、胸部X線では心胸比の著明な拡大がみられた。更にCTでは右心房から右心室にかけて径4cm大の腫瘤が存在しており、上行大動脈と右肺動脈周囲を取り囲むように進展していた。また、心嚢液の貯留も確認され、心臓超音波では右房内と上行大動脈周囲に腫瘍と思われる長径4.5cmの等エコーな占拠性病変が認められ、右冠状動脈造影ではtumor stainを認めた。一方、造影剤を用いてCTガイド下に針生検を施行したところ、HE染色では比較的小型の立方状異型細胞が索状・乳頭状・腺管状に配列して浸潤しており、特殊染色ではcytokeretin 7(+)、cytokeretin 20(-)、calretinin(-)、CD31(+)、34(-)、BER-EP4(-)であった。以上、これらの所見より心臓原発血管肉腫と診断され、放射線療法ならびにinterleukin-2療法、化学療法を用いた集学的治療が行われたが、診断から1年8ヵ月後に患者は死亡となった。尚、経過中、治療効果の判定にはCA125の変動が有用であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007