発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016303744
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著者らが経験した臓器虚血を伴うStanford B型急性大動脈解離16例(男性15例、女性1例、平均年齢68.8歳)を対象に、その虚血部位と治療成績について検討した。1)虚血部位は上腸間膜動脈(SMA)が5例、片側閉塞を除いた両側腎動脈(RA)が3例、腹腔動脈(CA)が3例、Adamkiewicz動脈(AKA)が2例、下肢動脈(LA)虚血が3例であった。2)30日以内の在院死亡は3例でみられた。内訳はSMA閉塞の手術未施行の2例、LA閉塞での手術未施行の1例であった。一方、平均3.5年の経過観察期間における遠隔期死亡は1例で、SMA閉塞で左総腸骨動脈-SMA人工血管バイパス手術を施行した例であり、術後1年3ヵ月で原疾患の重症筋無力症の呼吸不全にて死亡となった。3)合併症については、試験開腹のみで腸管の色調から腸管切除が不要と判断されたSMA閉塞の1例で虚血性腸炎が残存していた。尚、CA閉塞の1例では発症3日後に胃壁壊死、胆嚢壊死、脾梗塞を認め、胃部分切除術および脾臓、胆嚢摘出術を要した。
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