発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016087080
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症例は55歳女性で、直腸癌に対し腹腔鏡下前方切除術と術後補助化学療法が行われたが、経過観察中にCTで右肺中葉に孤立性結節を認め、転移性腫瘍疑いで紹介受診した。血算、生化学所見で異常は認めず、肺機能障害も認めなかった。CTで右中葉S5に15mm大の辺縁整の結節性陰影を認め、直腸癌の孤立性肺転移と診断し、胸腔鏡下肺部分切除を行った。視診上残存中葉のうっ血は認めず、残肺の膨張も良好であった。術中迅速病理診断は直腸癌の転移であった。術後のX線で右中肺野の透過性低下が出現し、陰影の進行性を認め、CTで残存中葉の著明な透過性低下、上葉S2領域の一部に透過性低下と肺静脈の拡張を認めた。中葉静脈の狭窄による残存中葉の還流障害と考え、抗生物質投与で炎症反応は速やかに軽快し、画像所見は徐々に軽快して術後20日目に退院した。術後1年経過でCT上残存中葉の緊張は得られ、うっ血の再燃や腫瘍再発所見は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2015