臨床経験
血気胸と気道出血により左肺下葉切除を施行した肺内気管支原性嚢胞
長野 匡晃
1
,
池田 晋悟
,
上田 聡司
,
星野 竜広
,
横田 俊也
,
森 正也
1三井記念病院 呼吸器外科
キーワード:
開胸術
,
気管支原性嚢胞
,
胸部X線診断
,
血気胸
,
肺疾患
,
肺切除
,
胸部CT
Keyword:
Bronchogenic Cyst
,
Hemopneumothorax
,
Lung Diseases
,
Pneumonectomy
,
Radiography, Thoracic
,
Thoracotomy
pp.764-767
発行日 2015年8月1日
Published Date 2015/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015395172
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
79歳女。発熱を主訴とした。胸部CTで左肺下葉背側に液体と気腔を内部に有する8cm大の嚢胞性病変を認め、左胸腔内には隔壁化された胸水と気胸を認めた。左胸腔ドレーンを挿入し、暗赤色の血性排液を1200ml認めた。細胞診はclass 1で、喀痰・胸水培養は陰性であった。排液は減少し、発熱等の症状も消失し抗生物質での加療を継続したが、入院11日目に再度発熱と喀血が出現した。保存的治療は難しいと判断し、開胸手術を施行することとした。手術所見で左肺と胸壁は全面癒着しており剥離困難で、病変周囲の癒着は非常に強固で、剥離過程で病変の一部を損傷したため、嚢胞のみの切除は困難と判断した。病変内部には膿ではなく凝血塊が充満していた。壁側胸膜と横隔膜の一部を病変に付ける形で剥離し、左肺下葉切除術を行った。病理診断は、肺内気管支原性嚢胞内の出血に伴う血気胸および気道出血であった。術後経過は良好で、第14病日に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2015