発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011292656
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76歳女。心房中隔欠損症自己心膜パッチ閉鎖術および三尖弁輪形成術を施行され経過良好であったが、術後2年3ヵ月の心エコー(UCG)で右房内に可動性のある腫瘤を指摘された。手術適応の判断で開胸術を施行し、人工心肺確立後に右心房に切開を加えて内部を観察したところ、三尖弁より2cmの自由壁側に15×14mmの球状で有茎の腫瘤が付着していた。腫瘤を付着部位から5mmの切除縁をとり、心房壁と共に切除した。摘出標本は表面平滑、割面充実性で層状を呈していた。病理組織学的にはフィブリン血栓で、一部に線維芽細胞を認める器質化を示した。抜管後よりwarfarinによる抗凝固療法を開始し、発作性心房細動のため抗不整脈治療を要したが、術後13日目に独歩退院した。しかし、術後3ヵ月のUCGで再び右房内中隔壁に14×10mmの有茎球状腫瘤を認め、血栓の再発と診断した。抗凝固療法を強化したところ、その1ヵ月後には腫瘤消失を認め、術後2年経過して血栓所見はなく、塞栓症なども起こしていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011