発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006302214
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症例1(68歳男).慢性腎不全で11年の血液透析歴があり呼吸困難にて入院,僧帽弁後尖の左房側に7×8mm大の有茎性可動性腫瘤を認めた.僧帽弁,大動脈弁ともに逆流は認められず,狭心症の診断ならびに粘液腫の疑いで手術を施行した.右側左房切開し,腫瘤は僧帽弁後尖弁輪P2領域の直上にあり,有茎性の腫瘤を切除した.弁輪部に広範囲な石灰化を認めたが弁尖に異常は認められなかった.逆流テストで弁尖の接合の良好を確認後,冠状動脈バイパス術(CABG)に移行し,左内胸動脈(LITA)をLAD#7に吻合した.摘出標本は8mmの有茎性,グローブ状で表面に血管新生を伴っていた.表層には石灰化した大小の結節,内側には間質細胞,フィブリン,血管,炎症細胞浸潤を伴っており,間質系細胞では粘液成分は明確でなく血栓様であった.良好に経過し,術後25日に退院した.症例2(63歳男).慢性腎不全で持続腹膜透析歴18ヵ月で,胸部圧迫感,呼吸困難で入院,僧帽弁後尖の左房側に輝度が高く乳頭状を呈す直径14mmの可動性の乏しい腫瘤と僧帽弁後尖に直径15mmの腫瘤を認め心臓腫瘍の疑いで手術を施行した.右側左房切開にてアプローチした.僧帽弁後尖のP2~3の弁輪の部分に存在し硬結を触れ,表面は心内膜に覆われて左室自由壁の下にも連続している腫瘤を周囲組織と一塊に除去し,欠損部分をウマ心膜パッチで修復した後,SJM27mmを逢着した.摘出標本は2×1.5×1.7cm大のカプセル様で,割を入れると灰白色泥状の粘稠な液体が流出し,大小の石灰沈着がみられ周囲には血管,線維芽細胞増生,炎症細胞浸潤が認められた.術後経過は良好で術後19日に退院した
©Nankodo Co., Ltd., 2006