発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015000778
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40歳女。3日間ほどの経過で強い呼吸苦が出現し急性搬送された。SpO2は92%で、血液ガス所見で重度の呼吸性、代謝性アシドーシスを認めた。X線では心拡大と肺うっ血を認め、経胸壁心臓超音波では巨大な左房腫瘍の僧帽弁への陥頓を認めた。全身麻酔導入後に経食道心臓超音波検査を行ったところ、約8cm大の巨大な左房腫瘍を認めた。僧帽弁逆流を認めたが、巨大左房腫瘍のため僧帽弁の形態の評価、逆流の定量的な評価は困難であった。体外循環心停止下に右側左房切開を行ったが、腫瘍付着部の同定は困難であり、右房切開による経心房中隔アプローチを追加し、心房中隔切開部から付着部位を同定し、中隔ごと左房腫瘍を摘出した。腫瘍摘出後に右側左房から僧帽弁を観察したところ、A3領域に腱索断裂を伴った逸脱病変を認め、三角切除により修復し、人工弁輪で弁輪形成を行った。病理診断は粘液腫であった。術後超音波検査では僧帽弁の逆流はごく少量で、心機能も保たれており、術後18日に軽快退院した。
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