発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015000777
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65歳女。めまいにて近医受診し、発作性心房細動の診断で内服加療され、精査の結果、僧帽弁閉鎖不全症(MR)と診断され当科入院となった。術前心臓超音波では左室駆出率82%、左房径49mmの拡大、僧帽弁前尖・後尖(A2P2)の逸脱、大動脈弁下の中隔筋肥厚を認めた。僧帽弁形成術を施行したところ、術直後より血圧低下が出現し、新たに収縮期雑音を聴取し、血圧低下の改善目的にカテコラミン、dopamineの投与を開始したもののショック状態が遷延した。また、胸部X線で肺うっ血像を認め、furosemide静注を行った。術翌日に行なった心エコーにて大動脈弁下に流速4m/秒以上の高度の左室流出路狭窄(LVOTO)を認め、循環動態の悪化はこれによるものと判断した。カテコラミン漸減、容量負荷、β遮断薬の持続静注、陰性変力薬としてcibenzoline投与を開始したところ、LVOTOの軽快、循環動態の著明な改善を認めた。第8病日にICUを退出し、その後はMRや僧帽弁前尖の収縮期前方運動は認めていない。
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