臨床経験
拡張型心筋症の心不全増悪期に合併した両心室内血栓に対する摘出術
畑中 憲行
1
,
上田 高士
1札幌東徳洲会病院 心臓血管外科
キーワード:
胸部X線診断
,
三尖弁
,
心エコー図
,
心筋症-拡張型
,
心不全
,
血栓除去術
,
僧帽弁形成術
,
心室内血栓症
,
三尖弁形成術
Keyword:
Cardiomyopathy, Dilated
,
Echocardiography
,
Heart Failure
,
Radiography, Thoracic
,
Tricuspid Valve
,
Thrombectomy
,
Mitral Valve Annuloplasty
pp.895-898
発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015000771
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
49歳男。呼吸困難を主訴とした。X線で心拡大、肺うっ血像、右中下肺野の透過性低下を認め、エコーでは左室収縮能のびまん性低下と左室拡大、中心性の僧帽弁閉鎖不全III/IV度、三尖弁閉鎖不全II/IV度を認めた。また、両心室内に各々40mm大の可動性を有し、心腔内に突出した球状血栓を認めた。肺炎を契機に心不全の急性増悪を来たし、両心室内血栓を合併した拡張型心筋症と診断し、体外循環下に血栓除去術と弁形成術を施行した。経三尖弁的に右室内血栓の除去を試みたが、血栓は非常に脆く把持困難で、肉柱間にも微小な血栓が充満しており十分な血栓除去は不可能と考え、両心室とも切開して直視下で大量洗浄を含めた除去を行った。その後、右側左房アプローチで僧帽弁輪縫縮術、三尖弁輪縫縮術を行い右房を閉鎖した。心不全は改善し、術後2年半の現在まで再発は認めていない。また、房室弁逆流や心室内血栓も認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2014