発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014367327
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67歳女。右胸痛、咳嗽を主訴とし、X線で右肺野縦隔側に突出する腫瘤影を認め、腫瘤影は3ヵ月間で急速に増大した。CTでは前縦隔右側に上行大動脈と上大静脈に接する60mm大の嚢胞性病変を認め、嚢胞の右側壁には造影効果を示す充実性結節を伴っていた。MRIで充実性成分はT1強調像で全体が低信号、T2強調像で内部が高信号を示し、PET-CTでは充実性結節にFDG集積の亢進を認めた。診断治療目的に開胸下に腫瘍および胸腺右葉切除を行い、腫瘍は周囲組織と癒着しており、縦隔胸膜の合併切除を要した。病変は暗赤色の凝血塊を伴う11×5×4cmの多房性嚢胞性腫瘤で、割面では嚢胞壁から隆起した白色調の充実性結節を伴っていた。病理組織検査では単層あるいは重層の線毛上皮細胞が嚢胞壁を形成し、充実性部分は紡錘形細胞が増生していた。以上より、胸腺腫合併胸腺嚢腫(正岡分類I期、WHO分類type A)と診断した。術後経過は良好で、術後10日に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2014