発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010155769
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75歳女。全身倦怠感と食欲不振を主訴とした。重症糖尿病を基礎疾患とし、精査により右上葉の肺膿瘍の診断で抗生物質を投与したが、膿瘍破裂から急性有瘻性膿胸をきたし、その後慢性有瘻性全膿胸となった。胸部CTでは右胸腔に大量胸水貯留、右肺の高度虚脱、右胸膜の高度肥厚および左上葉全体に浸潤影を認め、胸水および血液培養でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が検出された。まず、開窓術と膿瘍腔掻爬術を施行し、Endobronchial Watanabe Spigot(EWS)の責任気管支への挿入・留置、抗生物質投与および血糖コントロールにより感染を沈静化した。開窓術後87日に根治目的で大網・筋肉充填術と胸郭形成術およびEWSによる気管支充填術を行った。その結果、感染徴候や気瘻の再発はなく、術後51日に退院した。術後4ヵ月の胸部CTで右肺の膨張は良好であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010