発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011034190
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64歳男。発熱・呼吸苦が出現し、左膿胸の診断で保存的加療を行ったが有瘻性膿胸となった。胸部造影CTで左肺尖部背側から横隔膜上に至る膿瘍腔を認め、左B6末梢は膿瘍腔と交通していた。まず、右側臥位による膿汁の右肺への垂れ込みの防止と有瘻性膿胸の無瘻化を目的に、endobronchial Watanabe spigotによる気管支充填術を行い、次いで第7~8肋骨部分切除を伴う開窓術を行った。術後ガーゼドレッシングによる創管理を行ったが感染を制御できず、膿胸腔も縮小しなかったため、術後約5ヵ月目に持続陰圧吸引療法(NPWT)を行う方針とした。膿胸腔にプレスクラブブラシを充填し、底部にアスピレーションキットを、表層にブレイクシリコンドレーンを留置し、サージンフィルムで密閉して生理食塩水による連続洗浄と-50cmH2Oの持続吸引を行った。3週間後には感染が陰性化し、膿胸腔の縮小も得られ、歩行やリハビリテーションも可能となったが、経過中に心アミロイドーシスを発症してNPWT開始後226日目に心不全で死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010