発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014195265
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症例は43歳男性で、胸背部痛が出現し、胸部CTで血胸、縦隔血腫を疑われた。3D-CTでは食道動脈の拡張、食道静脈瘤と正中弓状靱帯圧迫による腹腔動脈起始部の狭窄を認め、膵十二指腸動脈瘤もみられた。腹腔動脈起始部圧迫症候群に伴う食道動脈瘤破裂による血胸と診断し、緊急経カテーテル的動脈塞栓術を試みたが、食道動脈とその吻合動脈にある左胃動脈は、分岐部狭窄や急峻な分岐などによりカテーテルを挿入できず断念した。その後のCTで出血は止まり、血腫の増大はなく、血行動態も安定していたため待機的に入院第5病日に腹腔鏡補助下で開胸術を施行した。血腫のため破裂した食道動脈瘤および食道動脈末梢部は確認できず、食道動脈を大動脈中枢部で結紮切離した。術後経過良好で、膵十二指腸動脈瘤は経過観察とし、第17病日に退院した。
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