発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010320096
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72歳女。バイク運転中に転倒し、全身を強打して救急搬送され、画像検査で右多発肋骨骨折、右血気胸、右鎖骨骨折、胸椎椎体骨折、右腰動脈損傷および左恥骨骨折を認めた。腰動脈損傷に対し血管造影を行ったところ、Th12、L2に血管外溢出を認め、経カテーテル動脈塞栓術で止血を行った。画像上右血気胸は軽度で、保存的治療が可能と判断した。右第4肋間中腋窩線上より2OFrダブルルーメンチューブを挿入し、集中治療室で全身管理を行い、排液量は減少して淡血性となったが、第4病日に咳嗽後より突然胸腔ドレーンの性状が血性に変化して排液量も急増し、血圧が低下してショック状態となった。胸部CTを行ったところ、右血胸の増悪を認め、右横隔膜上より血管外溢出を認めた。下位肋骨の変位を伴っており、肋骨骨折の断片による横隔膜損傷と診断し、TAEで止血が得られないため緊急手術を行った。第7肋間開胸を行い、腹腔鏡を補助的に用いて観察し、胸腔内血腫を除去したところ、第10肋骨骨折部近傍の右横隔膜に径約3cmの損傷部位を認めた。出血点と断定して縫合止血し、吸収糸で肋骨間を固定し補強した。術後経過は良好で、術後47日に退院となった。
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