発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012264922
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症例は74歳男性で、息切れ、前胸部痛、喉頭のつかえ感が生じ、突然の呼吸苦、背部痛を来たした。胸部X線で左肺野の透過性低下、縦隔の右方偏位を、CTでは大動脈遠位弓部から下行大動脈周囲の縦隔内および胸腔内にやや吸収性の高い領域を認め、出血が疑われた。集中治療室収容後に突然の胸痛を訴え、血圧が低下し出血性ショックの状態に陥った。急速輸血、noradrenalineの持続静注で血圧は回復し、胸腔ドレーン挿入で血性胸水を約850mlドレナージした。以後状態は安定したが、第3病日に再度胸部痛を訴え、3DCTで下行大動脈より異常血管の分岐を認め、それに連続して気管支分岐部直下に径20mmの造影剤が貯留しており、気管支動脈瘤破裂による血胸と診断した。緊急気管支動脈造影で瘤を確認し、近位部3mm、遠位部2mmのプラチナ製トルネードコイルを使用して動脈塞栓術を施行した。術後症状は消失し、CTおよび血管造影で良好な塞栓を確認して35日目に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012