発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014195259
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症例は63歳男性で、約5年前から肺気腫を指摘されていた。労作時呼吸困難感が増悪し、慢性閉塞性肺疾患の診断で吸入療法開始となったが、胸部CTで異常陰影が認められた。左肺下葉S6、S8、S9にまたがる40mm大の薄壁のブラと、その外側に接する径18mmの濃度上昇を認め、FDG-PET/CTでは同部にごく淡い集積がみられた。肺癌の可能性を考え、低肺機能であったが区域切除は不可能と判断し、左肺下葉部分切除を行った。組織学的に微小乳頭状構造を含む乳頭状腺癌の像で、ブラ壁全周にわたって腫瘍細胞が存在し、ブラ内腔にも認めた。胸膜浸潤はなく、リンパ管浸潤、静脈浸潤があり、pT2aNxM0と病理診断した。またブラと交通する誘導気管支の存在を認め、薄壁嚢胞状病変の形成にチェックバルブ機構が関与したと考えられた。術後補助治療としてテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合投与を行い、18ヵ月経過して無再発生存中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2014