発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014195254
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症例は33歳男性で、オートバイ走行中に自動車に巻き込まれ、胸部CTで肋骨の多発骨折、広範な皮下気腫、右側の血気胸、肺挫傷、肺内血腫を認め、血気胸に対してトロッカーカテーテルを挿入した。呼吸、循環動態は安定していたが、徐々に収縮期血圧が低下して心拍数は上昇し、尿量は少なかった。輸液を増量したが再度のCTで血胸、肺挫傷の増悪を認め、収縮期血圧は60mmHg台に低下した。外傷性血胸による出血性ショックと判断し、緊急血管造影を施行した。右第3~第5肋間動脈と右気管支動脈に血管の狭小化と数珠状変化を認め、出血への関与を疑い、ゼラチンスポンジで塞栓した。右胸腔内の血液貯留に対してアスピレーションキットを挿入して血性排液が得られ、その後減少して翌朝には収縮期血圧110mmHg台となり、心拍数、尿量、循環動態も改善した。その後の経過は順調で、リハビリテーションを経て第155病日に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2014