発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014195252
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症例は69歳女性で、右側腹部痛などを訴えて受診し、造影CTで後縦隔の第11、第12胸椎左側に下行大動脈に接する54×43×66mmの腫瘍を認め、周囲が強く造影され、中心部は不均一な低吸収域を示した。冠状断CTおよび3D-CTでは左側の第10および第11肋間動脈に連続するヘアピンカーブ状のAdamkiewicz動脈が描出された。奇形腫などを疑い、胸腔鏡補助下に右側臥位、分離肺換気、第7肋間肋骨床で開胸術を施行した。腫瘍は肺との癒着を認めず、横隔膜を尾側に圧排し、大動脈左側に広範に接していた。大動脈との剥離は容易で、第10、第11肋間動脈を同定し、損傷しないように同肋間より前方の面で剥離をすすめた。腫瘍に分岐する肋間動脈の細い分枝は、ヘモクリップで止めて切離した。腫瘍は上下に神経と連続しており、交感神経枝と思われる神経を切断し摘出した。病理診断は神経鞘腫で、合併症なく術後14日目に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2014