発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014177017
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78歳女。咳嗽が出現し近医を受診、胸部X線で左肺の網状・粒状影を指摘されたほか、胸部CTで左S6に33mmの腫瘤影と縦隔リンパ節腫大、左上葉にびまん性に粒状影と同質の肥厚、左胸水の貯留を認め、癌性リンパ管症を伴う肺癌が疑われ、著者らの施設へ紹介となった。頭部MRIを行なったところ、前頭葉の中心前溝皮質下に白質16mm大の転移、左側側頭葉、左後頭葉に微小転移が認められた。また、骨シンチでは胸骨体部、胸骨柄部、左第6肋骨、右足関節にhot spotが認められ、FDG-PETでは両側の縦隔リンパ節への異常集積がみられた。以上、これらの所見を踏まえ、更に気管支鏡で左B6bより経気管生検を行なった結果、本症例はエクソン21のL858R EGFR遺伝子変異が認められる、腺管形成が不明瞭な腺癌(cT2aN3M1b IV期)と診断された。以後、治療としてgefitinib(250mg/day)の投与が行われ自覚症状は数日で改善、原発巣もやや縮小し、左胸水も減少、癌性リンパ管症の軽減もみられ、stable disease(SD)と判定した。一方、gefitinibによる薬剤性肝障害が生じ、その投与が中止されたが、肝機能はグリチルリチン酸を投与することでほぼ正常化し、gefitinibの中止から19日目にerlotinib(100mg/day)が投与された。だが、肝機能の悪化は認められなかった。尚、erlotinib投与1ヵ月目の胸部CT像では抗腫瘍効果が得られており、MRIでも脳転移の縮小がみられ、SDと判定された。
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