発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014106932
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43歳女性。4~25歳の間に5回の骨折と3回の脱臼を繰り返し、20歳代よりは高血圧症、41歳時には右中大脳動脈真性動脈瘤破裂による急性くも膜下出血、更に42歳時には右卵巣チョコレート嚢胞の既往があった。今回、労作時呼吸困難、下肢浮腫が出現し、精査加療目的で入院となった。画像所見から僧帽弁閉鎖不全兼三尖弁閉鎖不全症、心房中隔瘤と診断され、開心術が行われたが、術中所見では僧帽弁前尖が肥厚し、A2を中心に広範囲に逸脱しており、人工腱索を用いて僧帽弁形成術を試みたが困難と判断した。そこで、弁置換術に変更し、後尖を温存してATS31mm人工弁を縫着後、瘤状に右房側に突出した心房中隔を切除・縫縮した。そして4横指に拡大した三尖弁輪をDeVega法で縫縮し、無輸血で手術を終了した。その結果、病理所見では僧帽弁切除組織に少数ではあるがリンパ球浸潤、弾性線維の配列の乱れが認められ、瘤化した心房中隔と心内膜にも不規則な肥厚、弾性線維の配列の乱れがあり、核の大小不同や濃縮化、間質へのリンパ球浸潤が認められた。尚、患者は術後20日で退院となり、目下、術後1年目の心エコー検査では異常は認められていない。
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