胸壁・横隔膜の手術-その1 胸壁再建法
長径多穴性金属プレートによる曲面を維持した胸壁再建術後の遠隔期成績
田中 明彦
1
,
櫻庭 幹
,
松井 俊尚
,
三品 泰二郎
,
宮島 正博
,
小濱 卓朗
,
山内 昭彦
,
村木 里誌
,
大澤 久慶
1札幌市立札幌病院
キーワード:
胸部外科
,
金属
,
骨板
,
努力呼気流量率
,
肺活量
,
肺腫瘍
,
肋骨骨折
,
胸壁
,
骨折-多発性
Keyword:
Fractures, Multiple
,
Bone Plates
,
Forced Expiratory Flow Rates
,
Metals
,
Lung Neoplasms
,
Rib Fractures
,
Vital Capacity
,
Thoracic Surgical Procedures
,
Thoracic Wall
pp.54-59
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014106930
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1992~2011年の間にリコンストラクションプレート(プレート)により胸壁再建を行った22例を対象に、これらを多発肋骨骨折を固定するための添木として使用した12例(A群)と胸壁腫瘍に対する肋骨を含む胸壁切除後に胸壁を再建した10例(B群)に分けて比較検討した。A群は1肋骨に2ヵ所以上の骨折点がある分節骨折を有し、呼吸不全を呈するものを手術適応とし、外傷による致死的胸腔内出血例は止血手術に連動して分節骨折のプレート固定術が行われた。一方、B群(原疾患:良性胸腔腫瘍2例、胸壁浸潤肺癌5例、胸壁原発癌・肺癌左上葉切除後の肋骨転移・腎癌肋骨転移各1例)は2肋骨以上の範囲の胸壁切除例が多く、1肋骨切除でも胸郭の前方で広範囲切除となった場合には適応とし、胸壁浸潤肺癌例では縦隔リンパ節転移を認めない症例とした。その結果、1)A群は全例、交通外傷で平均年齢52.5±14.5歳、骨折肋骨本数6.0±2.2本、使用プレート本数2.3±0.7本で、プレート接合肋骨の部位は第3~7肋骨であった。2)B群では全例で肉眼的に完全切除でき、切除した肋骨は平均3.2±1.0本、使用プレート本数は1.9±0.7本であった。3)予後は胸壁原発癌の1例が7年無再発生存中であるが、原発性肺癌は5例とも2年以内に癌死していた。以上、これらのことを踏まえ、リコンストラクションプレートによる胸郭再建術は安全で効果的な手術術式と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2014