胸壁・横隔膜の手術-その1 診断
胸壁原発脂肪肉腫におけるFDG PET/CTの有用性
山本 治慎
1
,
杉本 誠一郎
,
三好 健太郎
,
山本 寛斉
,
宗 淳一
,
山根 正修
,
豊岡 伸一
,
大藤 剛宏
,
三好 新一郎
1岡山大学
キーワード:
胸部外科
,
胸部腫瘍
,
脂肪肉腫
,
腫瘍再発
,
X線CT
,
Fluorodeoxyglucose F18
,
胸壁
,
陽電子放射型断層撮影
,
マルチモーダルイメージング
Keyword:
Liposarcoma
,
Neoplasm Recurrence, Local
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Thoracic Neoplasms
,
Thoracic Surgical Procedures
,
Fluorodeoxyglucose F18
,
Thoracic Wall
,
Positron-Emission Tomography
,
Multimodal Imaging
pp.4-8
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014106921
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76歳男性。増大する右胸壁腫瘤と右上肢のしびれ、脱力感を主訴に近医を受診、精査にて右大小胸筋や鎖骨下動静脈を背側から圧排する10cm大の腫瘤を指摘された。今回、穿刺吸引細胞診にて多形性細胞肉腫の診断にて精査加療目的で著者らの施設へ紹介となった。胸部造影CTでは右胸壁の胸郭出口に10cm大の腫瘍が存在しており、内部は不均一で脂肪成分を含み、右鎖骨下動静脈を背側から圧排するも、右腕神経叢や骨性胸郭への明らかな浸潤は認められなかった。PET/CTでは腫瘍内部にはFDGの高集積がみられたが辺縁部は低集積であり、遠隔臓器転移は認められなかった。以上、これらの所見より、本症例は右胸壁原発脂肪肉腫が疑われ、治療は腫瘍辺縁部が低悪性度のため浸潤や癒着は軽度と予測して腫瘍摘出術が施行された。その結果、摘出標本は11.4×6.3×8.8cm大で、被膜に覆われ黄白色調であり、内部は充実性で一部に出血が認められた。また、病理組織学的所見では腫瘍の辺縁部には高分化型脂肪肉腫の増殖がみられ、腫瘍内部では多形性を示す異型性の強い細胞が出血・壊死を伴って増殖し、脱分化型脂肪肉腫と診断された。尚、術後1年でPETにて右腕神経叢腹側にFDGの高集積を認め腫瘍の局所再発と診断され、広範囲切除術が計画されたが、患者の意思により目下は近医にて放射線治療の施行中である。
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