発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013305788
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症例は68歳女性で、10年前までプラスチックレンズ研磨業に約30年間従事しており、その際有機溶剤に曝露していた。胸部X線で左中肺野に淡い円形陰影を指摘され、肺癌を疑われた。胸部CTでは左肺S6にスリガラス状陰影を伴う直径12mmの境界不明瞭な陰影を認め、気管支鏡では異常所見を認めず、B6からの擦過細胞診で悪性所見はなかった。血液生化学検査で異常所見や腫瘍マーカー上昇もなかった。手術を施行し、左肺は胸壁と強固に全面癒着していた。左肺S6に示指頭大の腫瘤病変を触知し、穿刺吸引細胞診の結果はリンパ球成分のみであったため部分切除術とした。病理組織所見で、小リンパ球よりやや腫大した核をもつリンパ球様細胞がび漫性に増殖し、リンパ上皮性病変を認め、免疫染色でL26陽性、pan-keratin陰性であり、粘膜随伴リンパ組織リンパ腫と診断した。退院後のPET検査で他臓器に集積はなく、その後再発もない。
©Nankodo Co., Ltd., 2013