発行日 2013年5月1日
Published Date 2013/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013269697
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78歳男。高さ3mの屋根から転落して救急搬送されたが、30分後に呼吸停止・心肺停止となり、咽喉頭浮腫のためエアウェイスコープ下に経口挿管し、心肺蘇生後に心迫再開した。胸部X線で上縦隔の拡大を認め、造影CTで咽頭背側から気管分岐部背側に連続する約25cmにわたる広範囲の縦隔血腫を認めた。既に気管内挿管後であるものの、気管は膜様部側から前方へ圧排かつ狭小化していた。また、血腫により頸動脈から上大静脈、奇静脈も圧排され狭小化していた。頸部から縦隔にかけた広範囲血腫による気管圧排が気管狭窄、呼吸困難・停止の原因と診断し、再出血の危険性を考慮して待期的手術の方針とし、受傷後5日にポートアクセス下に胸腔鏡下血腫除去術を施行した。術後経過は良好で、術後3日の造影CTで血腫減少、気管および静脈圧排の改善を認め、術後13日に気管カニューレを抜去し、術後23日に独歩退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2013