発行日 2009年6月1日
Published Date 2009/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009275825
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85歳女性。患者は歩行時に転倒、左前額部および眼周囲を打撲したため著者らの施設へ救急外来を受診となった。だが、徐々に呼吸困難が出現し、意識レベルはJCS-3、著明な喘鳴が聴取され、窒息と診断された。直ちに気管内挿管を行ったところ、呼吸状態および意識状態は改善した。一方、胸部X線では上縦隔の拡大が認められ、造影CTでは下咽頭から上縦隔の血腫が確認された。以上より、本症例は外傷性咽後縦隔気腫による気道狭窄と診断され、バイタルサインが安定していたため、保存的に経過観察が行われた。その結果、第4病日目のCTでは気管周囲の血腫は著明に改善し、圧迫が解除されたため第5病日目に気管チューブが抜去された。以後、経過は良好で、第14病日目の画像所見では縦隔血腫はほぼ消失し、第16病日目に患者は退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009