発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012171411
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48歳女性。交通外傷による頸部震盪の3日後から発熱、咽頭痛が出現した。更に呼吸困難に続き頸部腫脹、皮下出血が顕在化し近医を受診、感冒として経過観察されるも、その翌日から呼吸困難が増悪し、近傍の救急病院にて下降性壊死性縦隔炎が疑われ、著者らのセンターへ紹介搬送となった。所見では頸部腫脹、頸部から胸部にかけて皮下出血がみられ、単純X線では咽頭、気管後面と頸椎前面との距離の開大、上縦隔開大が認められた。一方、頸胸部造影CTでは後咽頭腔食道後間隙に腫瘤陰影がみられた。以上より、腫瘤は肝硬変による易出血性を背景とし、外傷を契機に後咽頭腔頸部食道後間隙に形成された血腫と考えられ、傍正中アプローチによる気管切開が行われた。その結果、術後は上縦隔の拡大が消退し、患者は第36病日目に人工呼吸器を離脱後、第67病日目に転院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012