胸部・気道損傷の治療
横隔膜の損傷 胸部外傷の臨床像 横隔膜損傷を中心に
山崎 繁通
1
,
巻幡 聰
,
平塚 昌文
,
濱武 大輔
,
山本 聡
,
白石 武史
,
岩崎 昭憲
,
益崎 隆雄
,
田中 経一
,
白日 高歩
1福岡大学 救命救急センター
キーワード:
開胸術
,
胸腔鏡法
,
胸部X線診断
,
胸部外傷
,
心停止
,
外傷重症度指標
,
横隔膜疾患
Keyword:
Heart Arrest
,
Radiography, Thoracic
,
Thoracoscopy
,
Thoracotomy
,
Thoracic Injuries
,
Trauma Severity Indices
pp.1027-1031
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007020973
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1993~2005年に加療した胸部外傷患者739例を対象に臨床的検討を行った。鈍的外傷が693例93.8%を占めた。鋭的外傷は46例6.2%と有意に少なかった。受傷機転は交通外傷462例62.5%、不慮の事故153例20.7%、自殺90例12.2%、暴行・傷害34例4.6%であった。合併症に関しては、胸部損傷のみが149例20.2%、一つの他の部位の損傷を合併したのは310例41.9%、他の二つ以上の部位の損傷を合併したのは226例30.6%、他の三つ以上の部位の損傷を合併したのは54例51.9%であり、合併損傷の部位が増えるほど死亡率も高くなった。搬入時心肺停止(CPA)症例は156例21.1%であり、155例が死亡した。CPAを認めなかった583例中69例が死亡したが、搬入から6時間以内に死亡した症例は39例、6時間以上が経過して死亡した症例は30例であった。後者の30例の死因となった病態は重症頭部外傷17例、多臓器不全7例、播種性血管内凝固3例、急性呼吸促迫症候群を含む急性肺障害3例、低酸素血症による脳死2例、敗血症2例、基礎疾患の肝硬変増悪1例、基礎疾患の慢性呼吸不全増悪1例であった。外傷初期治療後に胸部の外科的治療が必要であった症例は739例中38例であった。その内訳は、肋骨・胸骨固定術10例、肺穿刺・肺挫傷・肺内血腫に対する縫合修復もしくは肺部分切除術10例、横隔膜損傷に対する修復術14例、気管・気管支損傷に対する再建術4例、その他であった。38例中1例は肝不全により死亡した。横隔膜損傷症例は全例救命でき、腹部臓器の損傷が考えられた2例では開腹も併用した。
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